(格助)

体言および体言に相当するものに付く。

(1)主格を表す。古語では従属節の主格表現にのみ使用されたが、中世の頃より用法が広まり、一般に主格を表すのに用いられるようになる。
「ぼく―やります」「花―美しい」「先生―書いた本」「兼行―書ける扉/徒然 25」

(2)希望・能力・好悪などの対象になるものを表す。
「リンゴ―たべたい」「あの人―好きだ」

(3)指示語に付いて、接続詞のように用いる。
「それ―ね、また大変な人なんだ」

(4)連体修飾格を表す。「の」と同じ。現代語では文語的表現のみに用いる。多く、所有・所属・同格などの関係を表す。
「我―校の名誉」「梅―香」「己(おの)―分を知りて/徒然 131」

(5)「ごとし」「ままに」「からに」などに続いて、連用修飾語を作る。
「山は人の無力をあざわらう―ごとくそびえている」「たけき河のみなぎり流るる―ごとし/徒然 155」

(6)所有しているものという意味を表す。「…のもの」の意。
「そのぬしぬしの足をば取違へ、我―を人に、人のを我―に、つぎかへたり/咄本・醒睡笑」「この歌はある人のいはく大伴の黒主―なり/古今(雑上左注)」

〔(1) および(4) において、古語では、人を表す名詞・代名詞を受けた場合は、その人物に対し、親愛・軽侮の気持ちを伴い、「の」とは区別される〕

(接助)

の用法から転じてできたもので、院政時代から見られる。現代語では終止形、古語では連体形に、それぞれ接続する。

(1)前置き・補足的説明などを後に結びつける。
「次に予算の件です―、重要なので今日中に決めてください」「御存じのことと思います―、一応説明します」

(2)二つの事柄を並べあげる場合、時間的前後・共存など、それらの時間的関係を表す。
「驚いて外に飛び出した―、何事もなかった」「しばらく見ていた―、ふっといなくなった」

(3)対比的な関係にある二つの事柄を結びつけ、既定の逆接条件を表す。けれども。
「学校へ行った―、授業はなかった」「君の好意はうれしい―、今回は辞退する」

(4)どんな事柄でもかまわない、の意を表す。「…うが」「…まいが」の形をとる。
「どうなろう―知ったことではない」「行こう―行くまい―、君の勝手だ」

(終助)

より転じたもの。体言および体言的なものや活用する語の終止形に接続する。

(1)事実と反対の事柄や実現しにくい事柄が実現するのを望む気持ちを表す。詠嘆的な気持ちが加わる。「…がなあ」の形をとることが多い。
「早く来ればいい―なあ」「合格するといい―なあ」

(2)遠回しに述べる気持ちを表す。
「今日は、早く帰りたいのです―」

(3)ののしる気持ちを表す。名詞を受ける。
「この大馬鹿ものめ―」

(4)不審の気持ちを表す。
「はてな、今までそこにいたはずだ―」
三省堂 大辞林より